男の動物看護士が少ない理由と給与を解説

獣医師の補佐をしているスタッフの方を動物病院で見る事はありませんか?

それは動物看護士(AHT、VT)という職業のスタッフです。

動物看護士の仕事は、獣医師の診察補佐の他にも入院患者のお世話や備品管理、フィラリアの時期などのダイレクトメール作成など多岐に渡ります。

動物看護士は、ほぼ100%女性といっても過言では無いほどの男女比で、男性はかなり稀な存在です。

それは何故なのでしょうか?

動物看護士の実情とは?

動物看護士の給与は約18万ほどで、初任給ともなると手取り14~16万ほどが一般的です。
社会保険や厚生年金の無い動物病院も多く、その手取りの中から国民健康保険と国民年金を払います。
この給与の中で1人暮らしをすることは、ほぼ不可能ですので、実家から通う動物看護士が大多数です。

また勤務時間がとても長く、平均8時間ほどの勤務時間です。
緊急手術になる場合も多く、いわゆる定時は存在しません。
時間外勤務手当と呼ばれる「残業代」も無い病院が多く、前述の手取り14~16万が満額という低賃金が実情です。

男性動物看護士では家族を養うことが出来ない

安月給、勤務時間の長さ…それでいて仕事は激務です。
狂犬病の予防接種やフィラリアで混み合う春はトイレに行く暇もないほどです。

将来家族を養う可能性のある男性には、向いていないと考える人が大多数です。

男性動物看護士は獣医師が嫌がる

雇い主となる獣医師は、獣医師以外の男性を雇う事を嫌う方が多いです。

力も強く、体重の重い犬も持ち上げられる男性は重宝されるかと思いきや、逆に現場は女性を求めています。

細やかな事を求められる仕事ということもありますし、飼い主さんとコミュニケーションをとるのに女性の方が良い、という考えもあります。

女性の中でも、出来れば新卒の子を、という動物病院が多いです。

これは、自由診療のため特色の出やすい動物病院という職場のため、他の病院色に染まっていると雇い辛いということがあるそうです。

ですので、動物病院の動物看護士に求められているのは「新卒で、若い女性」です。

男性の動物看護士を雇うのは面倒だという開業獣医師は、比較的多いです。

動物看護士希望の男子生徒に対して…

私の通っていた動物系専門学校には、トリマーコースと動物看護コースの二つがありました。
トリマーコースには男子生徒は割と多く、30人中8人ほど。
ですが動物看護コースには30人中3人でした。

動物系専門学校は2年制が殆どですが、1年目の終わり頃教師から男子生徒にトリマーコースへのクラス替えを検討する様に話がありました。

理由は、将来男性として稼げない仕事だから。です。

トリマーであれば、ショップ経営などで独り立ちも夢ではありません。
ですが、動物看護士はあくまで獣医師の補佐的立場なので1人では仕事を立ち上げる事が出来ないのです。

結婚相手が女性獣医師であれば、問題無いのかもしれないですが…周りでそのカップリングは聞いた事がありません。

まとめ

動物看護士に男性が少ない理由について、どう思われたでしょうか?
私が、もし動物看護士になりたいと男性に相談を受けたとしたら…やはり止めます。
「今だけ」で良いのなら構いません。
ですが、将来は難しい選択です。
女性ですら、将来を見据えだした30歳手前には離れてしまう職種です。
ですが、とてもやりがいはある仕事なので、もし希望する方がいるのであれば覚悟をもって世界に飛び込んでほしいなと思います。

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